粋な映画 - 「her」
「her」を鑑賞。
さずがアカデミー賞脚本賞を受賞したスパイク・ジョーンズ。
内容が深い。
「あらゆる感情は経験し尽してしまい、新たに湧いてくる感情はすべて過去の劣化版にすぎない気がする」という台詞がぐっとくる。
さらに、主人公の職業を手紙の代筆ライターとしているところがうまい。
言語で繋がっている人間と非言語で会話をし始めるOS。
その対比が生きている。
しかし、人間にも言葉以外で伝わる感情がある。
ラスト、高層ビルの屋上で寄り添うセオドアとエイミー。
その無言の描写が美しい。
「自分の愛する人が自分だけを愛してくれる」。
そんな当たり前なことに改めて気づかせてくれる粋な映画。
多くの女性を愛した人間よりも、たった一人の女性だけを愛した人間のほうが、はるかに深く女というものを知っている。 ー トルストイ